「エレクトラ―中上健次の生涯」 高山 文彦著 文藝春秋社 2007.11

エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫) - はてなキーワード

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 中上健次は自分にとって特別な作家だった。こんな伝記が出ていたことは知らなかった。非常に楽しめたが、「岬」で芥川賞を受賞するまでがほとんどをしめ、10章が「枯木灘」と「紀州」、最終11章が病没の周辺で、作家の全体像を描くには至らなかったか。
 もう殆ど純文学は読まなくなった。最後に村上龍を読んだのは「ヒュウガ・ウイルス」だろうか。村上春樹は昭和型(あえていうと)の純文学とはジャンルが異なるのではないだろうか?フォークナーに影響を受け雄大な叙事詩的文学を志向した点で、中上健次ガルシア・マルケス、バルガス・リョサ、あるいはギュンター・グラスとの通底、同時代性が示唆されている(343ページ)が、ロベルト・ボラーニョについてどう思っただろう?