日本語の正体―倭の大王は百済語で話す 金容雲 三五館 2009/08/21

FROM 倭国の時代 岡田英弘 筑摩書房 2009/02/01 - いもづる読書日記

       日本人と日本語のルーツを掘り起こす 考古学からDNAまで - はてなキーワード

 

   日本語の起源を主に単語比較から描き出した本。著者は1927年生の壇国大学校特別教授で専門は数学。日本語の「訓読み」の部分の多くが朝鮮半島由来であること、加耶語、百済語、新羅語と日本語の影響関係からそれぞれ由来の人々が流入してきた時代が類推できること、中国との関係から見た、朝鮮半島を統一した新羅と日本の言語発展の相違等々、明快で説得力のある議論が展開される。日本書紀の「わざうた(童謡)」の読解や枕詞の読解も興味深かった。
 「古代、ヤマトに進出した半島からの主な勢力は少なくとも三つありました。一つは天皇家よりも前にいたとされる饒速日命を先祖にもつ新羅系の物部の一族。二つ目は、天孫降臨の神話をもってやってきた加耶の金首露王の七王子系。(中略)三つ目はこれらとは別に、後から入った百済熊津出身の応神です。」(91ページ)、「蘇我氏百済藤原氏の出自は加耶だった」(99ページ)とたたみかけてくるが、中国南部や南西諸島から渡ってきた人々の寄与はどの程度か?、以前読んだ「日本人と日本語のルーツを掘り起こす」と照合してみたい気持ちになる。