唐牛伝 敗者の戦後漂流 佐野眞一 小学館 2016/07/27

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 まず、佐野眞一の復活を寿ぎたい。推理小説的に読ませる佐野節も健在である。唐牛健太郎は名前を知っているという程度だった。60年安保と70年安保の違いはよく聞く話だが、唐牛、島成郎、青木昌彦西部邁という登場人物達が個性的。その牧歌的な自由さが印象的だった。登場人物の多くが鬼籍に入っておられることと学生運動が関係あるのかないのか。
 吉行和子桐島洋子のくだりが面白かったが、女性は元気とかいうのは違う気がする。著者の嗜好もあるんだろう。「安保闘争の時代が終わると、大きな本のページをめくるように新しい女の時代が始まっていた。だが、それに気がつく者はほとんどいなかった」(274ページ)。
 たまたま「永田鉄山」と相次いで読んだ。我々は国防を他人任せにすることで経済成長を謳歌できた。一方で自己判断力を奪われたことで、表出する矛盾を見ないで済ます不健全さが習い性となった。現状を無視して暴走するのが正しいはずがない。戦略的に考え粘り強く行動しなければ現状を変えることはできない。