誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性 (光文社新書) 田中潤, 松本健太郎 光文社 2018/02/15

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FROM 人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質 山本一成 ダイヤモンド社 2017/05/11 - いもづる読書日記

TO AI vs. 教科書が読めない子どもたち - はてなキーワード

 

 本書を読む前に製作裏話(https://www.mm-lab.jp/interview/misunderstanding_artificial_intelligence/)を読んで、勝手にシンギュラリティ否定派の方の本だと思っていたので、そこまでアンチじゃないんだなという感想。人工知能開発の現状と短期的な未来予想が有用な本。「人工知能はどのように『名人』を超えたのか」と併せてだんだんとわかってきた。本書の前半はAIを働かせるには目的の設定が重要で、学習のために十分な量のデータが必要だということが述べられる。現在急速に進むAIの進歩に日本は完全に乗り遅れている。後半は「人工知能はこの先の社会をどう変えていくか?」、「社会に浸透する人工知能に私たちはどのように対応すべきか?」が述べられる。AIに仕事を奪われた私たちは一方で貴重な消費者である。「そうなると、労働の対価としてお金をもらうという仕組み自体を壊すしかないと僕は思います。」(215ページ)ベーシックインカムの導入が望ましいと。
 現状ではAIが人間より優れているか否かの判断は人間が行っている。AIに「大局観」があるような気がしているのは人間である。しかし、近い将来AIが人間の知性をはるかに凌駕すれば、AIの決定(その過程はブラックボックス化されている)を人間が判断することは叶わなくなる。どうもこんなディストピア小説のような未来像しか見えてこないのだが。