棋士とAI――アルファ碁から始まった未来 (岩波新書) 王銘琬(おうめいえん) 岩波書店 2018/01/20 人間の未来 AIの未来 山中伸弥, 羽生善治 講談社 2018/02/09

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from 誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性 (光文社新書) 田中潤, 松本健太郎 光文社 2018/02/15 - いもづる読書日記

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質 山本一成 ダイヤモンド社 2017/05/11 - いもづる読書日記

 「人間の未来~」はAIへの興味から読んだが、山中伸弥の率直さにも感銘を受けた。「研究費100万円では一か月分にも足りない(大意)」(176ページ)には暗たんとしてしまった。
 どうも囲碁AIと将棋AIは違うらしい。「棋士とAI」は最前線にいる囲碁AIの現状報告として興味深い。深層学習で発展した囲碁AIが教師付き学習から教師なしの自動学習へと進んでいる。アルファ碁→マスター→アルファ碁ゼロへの道筋も示され、こうしてあとづけられるとよくわかる。囲碁AIはGoogleを代表とする大企業によって担われ、国際的な注目を集めた大プロジェクトだったのに対し、将棋AIはオープンソース化によるボランティアの集合知と、バックグラウンドが全く異なるのも面白い。囲碁や将棋のような勝ち負けというはっきりした結果がある問題はAI向きということは言えるだろう。その他の問題に対してAIが適用するときには、「評価関数」の設定が重要となるだろう。
 「人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?」でも触れたが、AIはブラックボックス化し、人間はその出力を検証することができない、できなくなるはずである。しかし、将棋でも囲碁でも「AIの手」の評価は喧しい。これは過渡期の現象なのだろうか?少なくとも「問題」の設定は人間が行うはずだ。安易なディストピア小説みたいにならずに、AIとの付き合い方を考えて行かなくてはならない。シンギュラリティ云々で騒ぐのは意味がないと思う。