インドの時代 豊かさと苦悩の幕開け 中島岳志 新潮社 2006/07/22

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from 愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか (集英社新書) 中島岳志, 島薗進 集英社 2016/02/1 - いもづる読書日記

 保守派の思想家として著名な中島氏は、大阪外語大学でヒンディー語を専攻したインドの専門家として出発されたらしい。本書で活写される現代のインドは、ライトなインド映画ファンの私にとっても随分新鮮である。日本と変わらないショッピングセンターが若年中間層の人気を集め、欧米経由の新興宗教やスピリチュアルな健康法が流行する(第2章)。ヒンドゥーナショナリズムムスリムとの軋轢を生み、漠然とした「母なるインド」のイメージが大衆を惹きつける(第1章)。伝統的な文化が解体され近代化が強要される過程で、書割にされたような疑似伝統的価値観やナショナリズムが跋扈する様子は日本と似ているようでもあるが、かの国は数百倍もエネルギッシュ。
 第3章では数ページを費やして映画「スワデース」が紹介されている。同じ映画を音楽評論家のサラーム・海上氏も紹介されていた。それから、93ページにはアイシュワリヤ・ラーイ・バッチャンが紹介されているが、彼女は「ぽっちゃりした女性」なのか、「スリムな女性」なのか?