二十世紀論 (文春新書)福田和也 文藝春秋 2013/02/01

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 福田和也二冊目。「奇妙な廃墟」も買ってあるのだが後回しになっている。本書は「これから生きていかなければならない二十一世紀について考えるためにはまず、私が生きてきた四十年を含む二十世紀が果たしてどのような世紀であったか考える必要がある」(5ページ)という問題意識で書かれた。前書きで二十一世紀の世紀の変わり目は2008年のリーマンショックであったとされるが、二十世紀のそれは第一次大戦であったとの結論だろう。筆者は1960年生まれで私より一つ年長なのだが、感覚はずいぶんと古くさい。本書に著されるサルトル像はたしかに「戦争の二十世紀」の遺物として相応しい。しかし、サルトルが同世代人であるレヴィ・ストロースに批判されたことが時代の画期であり、欧米中心史観が思想的に瓦解する端緒であったことを知っている私たちには、本書は歴史映画のように(あるいはそのパロディのように)空虚だと思う。