死ぬまでに学びたい5つの物理学 (筑摩選書) 山口栄一 筑摩書房 2014/05/13

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イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222) 山口栄一 筑摩書房 2016/12/06 - いもづる読書日記

 

 「イノベーションはなぜ途絶えたか」の著者の旧著。ニュートン、ボルツマン、プランクアインシュタイン、ドゥ・ブロイらの「知の創造」物語と、著者による解説。囲碁は入門の次が難しく、ルールを覚えてからそれなりに打てるようになるまでが大変だそうだ。入門書の次に読むとされる本が突然難しくなってついていけなくなる。この本の解説は高校物理学の一歩先を学べる、最良の参考書かもしれない。
 第5章「科学はいかにして創られたか」は旧著でも述べられたイノベーション進展の態様だが、より具体的で、より説得力があると思う。科学が自走的に進展する段階、社会に影響を与えず、研究者の暗黙知で展開する段階を著者は「夜の科学」と呼ぶ。何やらロマンチシズムを感じるが、現代の学界はもう少し生臭い。論文化より特許を優先する傾向とか、GLPとか「夜の科学」の自立性を脅かす状況が研究者の首を絞めつつある。人工的な照明が暗闇の魔法を無力化するかのようだ。魔力を失った魔法使いは道化として生きるのか?