GHQと戦った女 沢田美喜 青木冨貴子 新潮社 2015/07/17

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「風と共に去りぬ」のアメリカ―南部と人種問題 (岩波新書) 青木冨貴子 岩波書店 1996/04/22 - いもづる読書日記

昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領 青木冨貴子 新潮社 2011/05 - いもづる読書日記

 占領期に米兵と日本人女性の間に生まれ、孤児となった子供を育てる「エリザベス・サンダース・ホーム」を創った沢田美喜の評伝。三菱財閥の娘に生まれ、外交官である沢田廉三と結婚した後は夫の任地で交友を広め(パール・バック、ジョセフィン・ベーカー!)、培った国際感覚と語学力、岩崎彌太郎ゆずりの頑固さで進駐軍とわたりあった。「ホーム」は美談だけではなく、GHQ財閥解体方針への抵抗という側面もあったようだし、接収された麹町「サワダ・ハウス」はGHQの情報組織が入ったこともあり、美喜や廉三が果たした役割に様々な憶測があるようだが、本当のところはよくわからない。多くの人のインタビューし、米公文書館で調査もしたとのことだが、まあ、隔靴掻痒の感は免れない。
 女傑と呼べる人間がいたことは間違いなかろうが、身近な人間にはより大きく見えるものだ。美喜は私の祖父の2歳年長ということになるが、そうした一族の伝説のようなものが昔はあったように思う。階級性が、武士社会の残り香があった時代ゆえだろうか。土佐のいごっそうが「異骨相」であることは初めて知った。