中国現代文学珠玉選 小説〈3〉女性作家選集 丸山昇, 白水紀子 二玄社 - 単行本 - 2001/03/01

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北京に行く機会があって、史家胡同博物館というところに行ってきた。ここは凌叔華(Ling Shuhua)という作家が住んでいたところだそうで、ヴァージニア・ウルフと交流があったというこの作家に興味を持ち、帰国後に翻訳を探してみたけどほとんどない。唯一入手できたこれを読んでみた次第。本書は16人の女性作家の短編が編まれたアンソロジー。1900~1920年生の方たちなので、抗日戦争、内戦、革命という激動の時代を生きた方々である。ここで繰り返し描かれるのは旧弊な封建社会で自由にならない近代女性の苦悩である。その中で凌叔華の「慶事」は家に父親の新しい妾がやって来るという出来事を、子供の視点からノスタルジックに描いていて、独特の味わいがあった。魯迅はこの作家を「旧家庭の淑やかな女性をひかえめにほどよく描いた」と評価していたとのことである(145ページ)。このアンソロジーの1と2も読んでみたいと思った。あとは国立国会図書館に「花の寺」があるらしいが、旧かな漢字はすらすら読むというわけには行かないなあ。

 (追記)某大学図書館のおかげで国会図書館がデジタル化した「花の寺」を読んでいる。意外に旧かなも読めるものだ。昭和15年に日本で出版された本を時間を超えて読んでいると思うと味わい深い。