八九六四 「天安門事件」は再び起きるか 安田峰俊 KADOKAWA 2018/05/18

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 中国現代文学珠玉選 小説〈3〉女性作家選集 丸山昇, 白水紀子 二玄社 - 単行本 - 2001/03/01 - いもづる読書日記

1989年6月4日に起きた天安門事件について、様々な当事者の証言を集め、多角的に論じた本。天安門事件は中国ではタブーとされ、実際5月の北京では30周年ににもかかわらず影も形もなかった。「なかったこと」にされたため、正確な死亡者数を含め事件の全貌があきらかにされず、未消化に終わっているのがわかる。視点も位置づけも異なる証言を重層化することで、事件を立体的に描出することに成功している。
「魏陽樹は『お祭り』の終戦後、避難民であふれた列車のなかで、中国の社会が本質的に抱えているカタストロフィの可能性を目の当たりにした。巨大な権力の統治がひとたび緩めば、世の中の一切がメチャクチャになる。中国はそういう危険のハードルが極めて低い国だという事実を、身をもって知ってしまったのである。(中略)鎮圧発生後の1989年6月9日、鄧小平は中南海に戒厳部隊の軍幹部を招いて労をねぎらった。最高指導者の健在ぶりがアピールされたこの瞬間から、中国の社会は秩序を回復しはじめ、内戦の不安は消し飛んだ。(中略)だが、鄧小平が再登場するまでの五日間は、中国の社会を覆っていた薄い平和の皮が剥がれた期間だった。地獄の窯の蓋が一瞬開いた先に垣間見えたのは、過去の歴史上で王朝が滅びるたびに必ず姿を見せてきた、血で血を洗う阿鼻叫喚の世界だったのである。」(72ページ)
地下鉄木セイ地駅の階段を上がるとすさまじい勢いで雨が降っていた。現在は北京首都博物館の最寄駅であるここが、最も激しい弾圧が行われた地点であったことを本書で知った。やがて雨は上がったが陰鬱な雰囲気は変わらなかった。