双調平家物語ノート(2)院政の日本人 橋本治 2009年6月30日

『院政の日本人 双調平家物語ノート2』(橋本 治)|講談社BOOK倶楽部

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双調平家物語ノート(1)権力の日本人 橋本治 講談社 2006年03月31日 - いもづる読書日記

持統天皇-壬申の乱の「真の勝者」 (中公新書) 2019/10/16 瀧浪 貞子 - いもづる読書日記

橋本治三冊目。「権力の日本人」から話は続き、応神天皇まで遡ったあと、また源平のころまでに戻ってくる。いずれの時代も天皇の后の役割がハイライトされる。
「日本の天皇の権力は、孝徳天皇のあり方を学んだ斉明女帝によって明確になる。(中略)日本の天皇の権力体制を確立するのは、斉明天皇に従って九州まで行った孫娘ー持統天皇なのである。藤原不比等の『婚姻による権力奪取』は、その持統天皇の下で始められ、やがて摂関政治という形で結実する。天皇の力は『后の父』によって奪われ、そこから院政の時代が始まるのだが、その日本の『権力体制』は、女によって確立されたのである。(中略)律令国家日本は、年若い文武天皇を庇護する持統天皇の下で成立するのである。(中略)『日本の男のマザコン性』はこのことに由来しているのかもしれないが、」(73ページ)橋本治の描く皇極=斉明天皇持統天皇はふてぶてしく、天智天皇天武天皇の煮え切らなさと好対照である。「人間洞察の王者」だった橋本の面目躍如。