JOHNNY TOO BAD 内田裕也 モブ・ノリオ 内田裕也 文藝春秋 2009年10月28日

『JOHNNY TOO BAD 内田裕也』モブ・ノリオ | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

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内田裕也が1986年に平凡パンチ誌に連載した対談シリーズと、モブ・ノリオが内田をテーマに書いた小説を二冊組とした本。内田裕也はニュー・イヤー・ロックフェスと日本語ロック論争くらいしか意識に上がらないか。「水のないプール」は中村れい子がエロかった。
対談では、表現と表現者の実存の一致にこだわる姿勢を貫くが、なんだか自分をどう見せるかに腐心しているように思える。自己プロデュース力が高かったといことか。彼の「ロックな生き方」がロックを笑えるものにした、そのことの功と罪があると私は思う。バブル絶頂期のはずだがむしろ70年代の残滓ばかりが感じられる。行動する男内田裕也を表に出した結果か、編集者が古かったのか。中上健次の登場が目を引くが、内容に特筆することはない。堤清二の項にも出てくるが、中上はこの前年映画「火まつり」にかかわり、後期に差し掛かっていく時期だ。この時40歳、肝臓を病む前だろうか。
一方、モブ・ノリオの小説は日本のロックの一側面を十分に描いた力作だと思う。「パンク以降、非西欧諸国で音楽をやる連中が、やっと自由になった、同じ音楽をやる人間として認められる素地ができた部分って、いっぱいあったと思うんですよ。」(237ページ)でも、これは内田には理解できなかったと思うな。