隣の国のことばですもの ─茨木のり子と韓国 金智英著 筑摩書房 2020/12/22

筑摩書房 隣の国のことばですもの ─茨木のり子と韓国 / 金 智英 著


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韓国現代詩選 / 茨木 のり子【訳編】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

 ハングルへの旅 / 茨木 のり子【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

詩人の茨木のり子が韓国語を学び、「韓国現代詩選」を編集・翻訳を行うに至ったか記した本。第二次大戦後日本の詩壇は「荒地」と「列島」を中心に展開したそうだが、茨木はそれに続く「櫂」の中心的な詩人で、戦中・戦後を背景とする「社会批判」の詩人であった。韓国語を学ぶ動機を聞かれて茨木はこう答える。「問われても、うまくは答えられないから、全部をひっくるめて最近は、『隣の国のことばですもの』と言うことにしている。この無難な答えさえ、わかったような、わからぬような顔をされてしまう。」(136ページ)
茨木の「隣国語の森」という詩には、日本統治下ハングルで詩を書いたために逮捕され獄死した尹東柱の詩が引用される。韓国と日本は様々な問題で自由な思考が妨げられる、無遠慮にものがいえない関係にある。しかし、私は韓国にどこか懐かしさを感じてしまうことも否定できない。韓国に相対することは、目をそらしている自分自身に相対することかもしれない。