音楽に恋をして♪ 評伝・湯川れい子 2012/12/20 和田靜香著 朝日新聞出版

朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:音楽に恋をして♪ 評伝★湯川れい子

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夜の歌 なかにし礼 毎日新聞出版 2016年11月25日 - いもづる読書日記

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なかにし礼に比べてこちらは現代史。著者が私と同世代ということもあるかもしれない。「ちょうど音楽界は転換期。(中略)ビートルズローリング・ストーンズがメッセージ性の高い曲を自ら作って歌い、1枚の『アルバム』という形で発表する。(中略)湯川は65年のニューヨークで、その狭間に立ち、これからのシーンを引っ張っていく者と、置いていかれる者の両者に出会ったことになる」(127ページ)そして71年、伝説のレッド・ゼペリン来日と大立ち回り。「最後の大阪公演は3時間半に及び、ステージから楽屋まで、床が汗でツルツルに滑り、歩くのも危なかった。何もかもが型破り、無茶苦茶で、彼らはこの一瞬をひたすら全力で生きている。<ああ、これがロックだ!>湯川はドでかいエネルギーにバーンッといきなりブチ当たり、全身でロックにまみれる人生を実感した。頭でっかちなロック論争なんてカケラも残っていなくて、とてもいい気分だった。」(158ページ)渋谷陽一さんはなんていうかな?
各章は英語の副題がついていて、上記の第11章は”Whole Lotta Love”だが、第14章子どもが生まれた!は”Hejira”である。ジョニ・ミッチェルの作品で、日本題は「逃避行」。湯川はアルバム解説を担当したらしい。この章は湯川の出産とからめて女性性をテーマとしているが、”Hejira”は男女を超えたジョニの音楽的な天才性を示した頂点といえる傑作である。ヒジュラマホメットの聖遷を表すアラビア語だし、より普遍的な内容と考えるのが妥当だろう。あれ、頭でっかちな音楽論になっている?