K-POP 新感覚のメディア 金成玟著 岩波新書新赤版1730 2018/07/20

K-POP - 岩波書店

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アメリカ音楽の新しい地図 大和田俊之著 筑摩書房 2021/12/23 - いもづる読書日記

「朝鮮 民族・歴史・文化」金 達寿著 岩波新書 1958 - いもづる読書日記

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K-POP時代を航海するコンサート演出記 | 書籍 | 小学館

NCTのTVライブをおつきあいで見たり、ルセラフィムがデビューしたりで、図らずもマイブームとなっているK-POP。また、本から入るのか?と揶揄されそうだが、よくわかっていない私に本書はとても有用だった。日本の歌謡界にアダプトすることで日本進出を図った過去の韓国歌謡と、グローバルマーケットをターゲットにしたK-POPの差異が明確に描かれる。おそらく、私を含む大多数の日本人はこのK-POP現象の全体像を掴めていない。このことに自覚的であるべきだ。
「2016年の夏、ソウルの梨花女子大学では学生たちによるデモが連日行われていた。(中略)解散する直前、学生たちは震えながら互いの腕を組んで歌を歌っていたが、その曲が(中略)少女時代の『Into the New Word』だった(中略)この強烈な出来事は、『美貌・ダンス・音楽性』をそろえたビデオ型歌手として輸入されたアイドルの社会的意味が、韓国の大衆はいうまでもなく、アイドル自身のなかでも大きく変化した瞬間だった。」(125ページ)その一方で、K-POPアイドルも「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだと発言しただけで批判されたことがあったそうだ。5月10日に就任した韓国の尹錫悦大統領は、女性家族部の廃止を公約として選挙戦を戦った。アンチフェミニズム的なこの潮流が、今後どちらに流れていくか予断を許さないが、下からの改革が歴史を動かしてきた韓国については楽観的である。むしろ問題は---。