from 吉本隆明という「共同幻想」 呉智英著 筑摩書房 2012年 - いもづる読書日記
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こちらは橋爪大三郎のまっとうな吉本追悼本だが、成り立ちは呉智英本と共通するところもある。「吉本隆明のDNA」でも感じたが、吉本を語ることは自分史を語ることになりがちなようである。吉本の著作が吉本という人間と切り離されて理解される未来が来るのだろうか?
橋爪はこのようにとらえる。「吉本さんは、外部の権威を信じない。権力を信じない。(中略)自分は個である。個人であり、何物にも制約されず自由である。そして文学を信じる。文学の理念を信じる。自分が何ものかを、語りうることを信じる。何ものかを語りえたときに、それが真実であることを信じる。それが何ゆえかというと、実際に自分の心のなかで、こういうことがほんとうに起こっている、それを信じる。」(87ページ)これを成立させるの吉本の強い訴求力をもつ詩的言語である。