未聴の宇宙、作曲の冒険 湯浅譲二 西村朗 著 春秋社 2008/11/20

未聴の宇宙、作曲の冒険 - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも

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谷川俊太郎が聞く 武満徹の素顔 谷川俊太郎【聞き手】 小学館(2006/11) - いもづる読書日記

現代音楽史 闘争しつづける芸術のゆくえ 沼野雄司 著 中公新書 2021/1/19 - いもづる読書日記

先日、水戸芸術館において「1964音風景」というコンサートが行われた。湯浅譲二氏が登壇され、インタビューとともに「ホワイト・ノイズによる〈プロジェクション・エセムプラスティック〉」というテープ音楽が上演された。音とともにこの曲の楽譜というかスケッチが上映されたのだが、片対数グラフであることに感銘を受けた。湯浅譲二氏が、音楽が指数関数の世界であることを認識できる理系マインドの方だったのだと。というわけで本書を読んでみた。
本書はNHK現代の音楽」の司会者でもある作曲家の西村氏が湯浅氏にインタビューしたもの。前半は作曲するモーティベーションというか、思想的な内容が語られる。後半は技術論や現代音楽史のような話になり、やはり実作者のいうことは率直で面白い。「音楽というのは、物語もそうですけど、時間軸に即して展開されるわけですから、僕は音楽それ自体のナラティビティというのがあるというのが持論なんです。全く言語的じゃないけども、音楽的な起承転結というか、必然的なナラティビティというものが音楽にはなければならないと思っています。聴く側は(中略)その人なりにどういう聴き方をしてもいいと思う。でも、それにもかかわらず、ある種の宗教的な畏怖感とか(中略)そういうものをある共通的なものとして感じることはあるんじゃないかな」(160ページ)

加藤和彦読本 CDジャーナルムック 2010/10

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『加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度』|感想・レビュー - 読書メーター

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安井かずみがいた時代 島崎今日子 2015/03/20 - いもづる読書日記

良い加減に生きる 歌いながら考える深層心理 講談社現代新書 きたやまおさむ 前田重治 2019年05月15日 - いもづる読書日記

加藤和彦読本」には「トノバンのレストラン」や「ワーキングカップル事情」が再録されていて、最近はとんと見かけなくなったので、その陳腐さが確認できて有用だった。加藤和彦は自分自身が作品みたいなところがあって、音楽はそれを飾るアクセサリーのように感じる。周りにいた人間に与える影響は絶大だっただろうな。「加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度」所収のインタビューで高橋幸宏は語っている。「トノバンはずっとかっこいいことをやってきた人で(中略)でも、和幸では自分で歌詞を始めていたから、そろそろトノバンのかっこ悪い部分も含めて、本音で詞を書いて、それを一番新しい音で表現すればトノバンらしくて、逆にかっこいいと思ったんです。」(18ページ)だが、それは成り立たなかっただろうな。合掌。

谷川俊太郎が聞く 武満徹の素顔 谷川俊太郎【聞き手】 小学館(2006/11)

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高橋悠治という怪物 青柳いづみこ著 河出書房新社 2018.09.25 - いもづる読書日記

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未聴の宇宙、作曲の冒険 - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも

読み始めて既読感を感じた。4年前に読んでいたが忘れていた。インタビュイーは小澤征爾高橋悠治坂本龍一湯浅譲二河毛俊作恩地日出夫宇佐美圭司、武満眞樹。湯浅、高橋は谷川とともに武満と同世代で、行ったり来たりしていたようだ。「谷川 あのころはお互いに同世代の仕事をしている人たちに関心があったよね。」(99ページ)
やはり、高橋悠治が抜群に面白い。「彼の音楽を聴いていると、例えば琵琶のひとつの音がある、そしてオーケストラの一連の音がある、それが琵琶の音から広がってくる――そういう感じに僕には聴こえる。だから、一種、琵琶なり尺八の音をどう聴くかということを、オーケストラでやっているという感じがする。それはある種普遍言語で日本語を読み解くみたいなところがあるわけだけど、では、普遍言語が必要ななのかどうかというと、それはまた別な話なんだよね。」(70ページ)

隣の国のことばですもの ─茨木のり子と韓国 金智英著 筑摩書房 2020/12/22

筑摩書房 隣の国のことばですもの ─茨木のり子と韓国 / 金 智英 著


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「朝鮮 民族・歴史・文化」金 達寿著 岩波新書 1958 - いもづる読書日記

日本語の正体―倭の大王は百済語で話す 金容雲 三五館 2009/08/21 - いもづる読書日記

伽耶は日本のルーツ 新泉社 2006/9/1 澤田洋太郎 - いもづる読書日記

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韓国現代詩選 / 茨木 のり子【訳編】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

 ハングルへの旅 / 茨木 のり子【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

詩人の茨木のり子が韓国語を学び、「韓国現代詩選」を編集・翻訳を行うに至ったか記した本。第二次大戦後日本の詩壇は「荒地」と「列島」を中心に展開したそうだが、茨木はそれに続く「櫂」の中心的な詩人で、戦中・戦後を背景とする「社会批判」の詩人であった。韓国語を学ぶ動機を聞かれて茨木はこう答える。「問われても、うまくは答えられないから、全部をひっくるめて最近は、『隣の国のことばですもの』と言うことにしている。この無難な答えさえ、わかったような、わからぬような顔をされてしまう。」(136ページ)
茨木の「隣国語の森」という詩には、日本統治下ハングルで詩を書いたために逮捕され獄死した尹東柱の詩が引用される。韓国と日本は様々な問題で自由な思考が妨げられる、無遠慮にものがいえない関係にある。しかし、私は韓国にどこか懐かしさを感じてしまうことも否定できない。韓国に相対することは、目をそらしている自分自身に相対することかもしれない。

アルツハイマー征服 下山進 KADOKAWA 2021年01月08日

「アルツハイマー征服」 下山 進[ノンフィクション] - KADOKAWA

アルツハイマー病(AD)研究の歴史と製薬という仕事を知るには有用であり、読み物としても面白かった。前半は分子生物学的なAD研究とアリセプト(ドネペジル塩酸塩)の開発史が、後半は創薬ベンチャーの興亡と抗体医薬の開発が並行して展開する。ただ、6月にFDAにってアデュカヌマブ(ADUHELM)が承認されたわけだが、本書を読んでシンプルにADが征服されたのだと感じる人はどれほどいるのだろう?本書は遺伝子変異が明らかな家族性ADにフォーカスしており、大多数の孤発性ADについては、治療をどのように始めてよいのかも解らないという現状だ。そのあたり、Nature誌もFDAの姿勢を批判していた。本書は率直に言ってミスリーディングだと思うし、著者に加担した研究者も反省するべきだろう。

ブロークン・ブリテンに聞け ブレイディ みかこ 講談社 2020年10月28日

『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain 』(ブレイディ みかこ)|講談社BOOK倶楽部

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THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本 2016/8/17 ブレイディみかこ著 太田出版 - いもづる読書日記

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The Public Image is Rotten ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン

 

本書は2018年から2020年にかけての、つまりコロナ前後のイギリスの状況が描かれる。
ピストルズに関する最近の話題といえば、2018年に海外で公開されたPILのドキュメンタリーが8月に国内公開されることと、スティーヴ・ジョーンズの伝記を原作とするテレビドラマに対してジョン・ライドンが楽曲の使用許可を与えなかったことで揉めているの2点だ。なんともげんなりする話で、パンクスの老後は波風が高い。本書でも「パンク・プリンセス」ジュリー・バーチルの老化が指摘されているが、それと対比されるべきなのはピート・タウンゼントではないかと考えた。「さらば青春の光」の原作である「四重人格」を創ったザ・フーは2019年に腰の据わった新作「WHO」を発表した。パンクより、そのゴッドファーザーの方が元気なのは、パンクの持っていたアチチュードの限界を物語っているのか?PILの映画を見て考えてみたい

韓国とキリスト教 : いかにして“国家的宗教”になりえたか 浅見雅一 安廷苑 著 中公新書 2012.7

https://shinshomap.info/book/9784121021731.html
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韓国はなぜキリスト教国になったか 鈴木 崇巨 著 春秋社 2012/09/30 - いもづる読書日記

韓国はなぜキリスト教国になったのか?理由は主に3つか?抗日運動でキリスト教徒が大きな役割を担ったこと、第二次大戦後の米国統治にキリスト教会が利用されたこと、アメリカ的なメガチャーチが韓国にも興り、爆発的に信者を集めたこと。

著者は儒教との関連から韓国のキリスト教徒に二つの類型があると語る。「小倉(紀蔵)は理気二元論を基調として、理性を前面に打ち出し、儒教的『理』を継承したものを『理のキリスト教』、感性を前面に打ち出し、シャーマニズムや仏教を吸収したものを『気のキリスト教』と呼んでいる。」(137ページ)そして、「韓国には『恨』という概念がある。呉善花は『韓国にキリスト教が普及したのは、みじめな状態を喜び、恨を楽しむ韓国人の感性にうまく適合したからである』と説明している」(139ページ)