〈おんな〉の思想 私たちは、あなたを忘れない 上野千鶴子著 2013年06月26日 集英社インターナショナル

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男も女もみんなフェミニストでなきゃ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 著 河出書房新社 2017.04.18 - いもづる読書日記

女たちのテロル ブレイディみかこ著 岩波書店 2019/05/30 - いもづる読書日記

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青土社 ||現代思想:現代思想2022年11月臨時増刊号 総特集=森崎和江

昨年6月に森崎和江さんが亡くなり、著者が追悼文を発表していた(

https://wan.or.jp/article/show/10140

)のを見て本書に興味を持った。そして、4月6日には富岡多恵子さんも亡くなった。第一部は森崎、石牟礼道子田中美津、富岡、水田宗子という著者の先行者というべき女性の本が紹介される。第二部はより広く、フェミニズム思想の展開に重要だった本が俎上にのぼる。この第二部が学習参考書的にわかりやすく、著者の美点は実はこういうところにあるのではないかと思った。一方、第一部については正直食い足りなかった。
巻末のジュディス・バトラー評価は結構アクロバチック。「もともと女は階級や人種によってきびしく分断され、黒人の女は主人である白人の女と共有するものが何もないと(中略)考えられてきた。(中略)『おんな』という言語的構築物が、歴史上はじめて、その差異を乗り越える集合的な言語的実践を可能にしたと言ってよい。(中略)回顧的に考えれば、脱構築を逆手にとって、『おんな』という概念こそが言語的に遂行された集団的アイデンティティの構築だったのだ、と主張することもできる。フェミニズムとは、『おんな』という仮構の集団的アイデンティティに対するコミットメント(投企)でなくてなんだろうか?」(284ページ)

multi dimensionalにとらえるべきだと、ただ、自分の足元は常に疑えと私は読んだ。