東京四次元紀行 小田嶋隆 著 2022年6月3日 イースト・プレス

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上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白 小田嶋隆 ミシマ社 2018/02/26 - いもづる読書日記

6月24日に亡くなった小田嶋隆の著書。日経ビジネスオンラインのコラム「ア・ピース・オブ・警句」は毎週楽しみに読んでいた。世代が近いこともあって、彼の「現在進行形の死」はショックだった。本書は著者初めての小説、あとがきには「自分で書いてみると、小説は読むことよりも書くことの方が断然楽しいジャンルの文章だと思うようになった。登場人物のキャラクターを変更してみたり、風景や街の描写に工夫を凝らしたり、時代設定を考え直したりする作業は、実際にやってみると、子どもが積み木で遊ぶような、楽しい作業だった。」とある。
キャラクターの設定は結構類型的で、例えばこんな風だ。「キャンパスで友だちを作ることができなかった人間は、就活にも耐えることができない。そういうことになっている。なぜなら、キャンパスが学生に与える試練の本当の意味は、群れの一員として振る舞えるのかどうかを試す不断のふるい分けなのであって、その能力を持っていない学生は、就職した先の企業でも、群れに同調できないイワシと同じように、いずれははぐれることに決まっているからだ。」(109ページ)諦念ということばがあるが、氏は諦めていたのか?自傷行為のように、疎外感情の表出を繰り返すことで、彼の潜在意識がもとめていたのは共感か?連帯か?合掌。