新しい世界史へ――地球市民のための構想 (岩波新書) - はてなキーワード
本書の著者はヨーロッパ中心の歴史観に中国史、イスラーム史を接木した「日本の世界史」が気に入らない。著者はイラン史、イスラーム史の専門家に飽き足らなくなり、では大風呂敷を広げようかとなったらしい。その意気や良しである。そういえば私の高校の世界史の先生は史観が大事だと言っていた。「様々な史観があったが、現在(40年前)の主流は経済史観だ」と。マルクス派でも非マルクス派でも経済を契機に考えることで客観性が得られるという意味のことを言っていたと思う。
網野善彦は多くの業績を残し、「日本史の再発見」に大きな役割を果たした。彼の著作には常に多くの独自の視点が盛り込まれ、そこに網野史観とも呼べる筋が通っていたように思う。もちろん、史観が先にあったわけではなかろう。史料の渉猟と不断の思考から生み出されたものであろう。是非羽田史観が盛り込まれた歴史書が読みたい。