四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼 上原善広 2021年11月26日 KADOKAWA

「四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼」 上原 善広[ノンフィクション] - KADOKAWA

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路地の子 上原善広 新潮社 2017/06/16 - いもづる読書日記

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幻の韓国被差別民 :上原 善広|河出書房新社

四国遍路にはいろいろな参り方があるようだが、主に徒歩で、托鉢で生活しながら巡る人々を生活遍路、プロ遍路と呼ぶらしい。本書の主調音となっている香月事件(第2章)の主人公香月は自らを草遍路と呼んでいた。「戦前までの四国遍路といえば、まだ歩いて回る人が多かった。当時は業病とされたハンセン病をはじめとして、眼病、足の障害などの治癒を願って回る者も多かったし、口べらしのために四国遍路に出される者も多かった。」(17ページ)「『だって生活遍路というのは、昔から何か陰のある人が多かったでしょう。(中略)もともと遍路しているに人になぜと訊くのはタブーだとされているくらいじゃからね。』」(84ページ)というわけで様々なマージナルな人々が登場する。四国の皆さんが遍路を大切にする様子が印象的だった。
山登りをしていたときに、屋根の下で寝られることの幸せを感じた。野宿やテント泊というのはボディーブローのように体力を奪っていくものだ。そのうえで、自分の住処を背負って歩く自由さには心惹かれる。とはいえ家財道具を背負って歩くには体力が必要だし、本書に出てくるように台車を引っ張るのは不自由だし---。