ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと マイケル・クロウリー著 2021/07/27 青土社

ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたことの通販/マイケル・クロウリー/児島修 - 紙の本:honto本の通販ストア

『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』エチオピアランナーが投げかけるどこを、誰と走るかの重要性。 - マラソン - Number Web - ナンバー

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恋する文化人類学者 鈴木裕之著 世界思想社 2015/01/20 - いもづる読書日記

マラソンランナーへの道 鍋倉賢治 大修館書店 2018/02/28 - いもづる読書日記

一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート 上原善広 角川書店 2016/07/01 - いもづる読書日記

世界のマラソン界を席巻するエチオピア勢。その強さに「走れる文化人類学者」が迫った本。所々に名前が出てくる日本の大会や、川内優輝への称賛など日本が依然としてマラソン強豪国の一角を占めることが確認できる。
「第9章なぜ午前三時に坂を上り下りするのか」が印象的だ。「この練習をきっかけに、ファシルから『ハベシャ(団結した、誇り高きエチオピア人を意味する言葉)』になったと言われるようになった。通過儀礼を終えたような気分だった。」(187ページ)「ハイリエがペースを調整してくれたので、私は歯を食いしばってなんとか坂の上までついていけた。(中略)後で聞くと、私の呼吸に耳を傾け、私がぎりぎり限界を超えないようなペースで走れるように調整していたとのことだった。」(186ページ)世界的なランナーになるには科学的なトレーニングが不可欠だが、最先端のランニングを理解するのは最先端のランナーとコーチだ。呼吸に耳を傾けペースを調整する繊細さとともに、「魔術的な思考や狂気に満ちた」(21ページ)限界ぎりぎりのトレーニングに身を捧げる意志力こそが、神秘的にも見えた彼らの走力の陰にある「科学」なのだろう。そういう意味で、日本のトップアスリートは十分に合理的、あるいは非合理的であるだろうか?