『ふしぎなキリスト教』(橋爪 大三郎,大澤 真幸):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
FROM
書き換えられた聖書 バート・D・アーマン 著 ちくま学芸文庫 2019/06/10 - いもづる読書日記
20万部を超えるヒット作で、読んだような気になっていたが、あらためて。社会学者お二人の対談で、西洋社会ないし近代社会のそこかしこに、あたかも無意識のように存在するキリスト教の影響を語る。根を同じくするユダヤ教、イスラム教徒の比較が多いか。
前記したように、キリスト教はユダヤ教徒の矛盾を解決せず、そのまま取り込んだことで、その複雑な構造を獲得した。その過程でパウロの果たした役割が大きかった。「パウロはユダヤ人で、もとは敬虔なパリサイ派だった。回心の瞬間まで、ユダヤ教の枠組みでものを考えていた。なぜ回心したかというと、イエス・キリストの存在がユダヤ教の枠組みではとらえようにもとらえられない存在だったので、矛盾とストレスが溜まりに溜まって、ついに爆発してしまったのですね。手袋の裏返しみたいなことが起こって、自分の知のシステムが別のシステムに激烈に移行してしまった。その激烈な移行の結果、出てきたのが、イエスは『神の子』だ、というアイディアだと思う。」(168ページ)