ザイルの二人 満則・秋子の青春登攀記 (山渓ノンフィクション・ブックス)鴫 満則 鴫 秋子 1983.1 山と渓谷社

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「ほぼ日」の平山ユージさんのインタビュー(https://www.1101.com/n/s/yuji_hirayama)を読んでいて、一つの光景が浮かんだ。なかなか名前が想い出せなかったのだが、ウィキペディアにお尋ねすると、1977年に日本山岳協会が組織したK2登山隊において、森田勝という登山家が山頂アタック隊に選出されなかったことを不服に思って下山してしまった光景だったのではないかと思う。テレビのコメンテータが「登山家というのはもっとおおらかな人たちかと思った」という発言をしていたような気がする。命がけで戦う男達の人間ドラマが描かれていたのに。

というような感想がいかにも昭和である。標題の本は、アルプスで多くの記念碑的な登攀を行ったのち、チベットのコングールという山で亡くなった鴫満則氏と奥様でやはり登山家の秋子氏の共著である。同時期にグランドジョラスで墜落死した森田氏も登場する。

この頃、登山家という人たちが居た。パイオニア・ワークの終焉とバリエーション・ルート時代とか、極地法とアルパイン・スタイルとか、色々な惹句を思い出すと、随分時間が経っていることに気づく。登山家という存在の社会でのあり様が変わったのか、単に自分が興味を持たなくなったのか。たまに、近所の山を歩いていることの方が自分にとって大事だと思う昨今です。