K-POP時代を航海するコンサート演出記 キム・サンウク著 小学館 2021.11.16

K-POP時代を航海するコンサート演出記 | 書籍 | 小学館

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K-POP 新感覚のメディア 金成玟著 岩波新書新赤版1730 2018/07/20 - いもづる読書日記

宮脇咲良は、昨年4月にIZ*ONEが活動を終了し、5月に帰国後6月にHKT48を卒業、8月に渡韓、2022年5月にルセラフィムで再デビューするまで、消息が聞こえてこなかった。(デビュー後のインタビューで「初めての研究生生活」を送ったと語っている。)もちろん、これがビジネス戦略であることは理解できる。この間契約会社であるHYBEは宮脇との契約について「そうした事実は確認できない」というコメントを繰り返した。これがどういうニュアンスなのか理解できないが、一種のビューロクラシーを感じないでもない。紋切り型の対応はその後のキム・ガラム問題の対処についても感じる。
本書はBTSのコンサート演出を手掛けたプロデューサー、経営者が自らの出自とプロデューサー業について述べたもの。多くのイラストが入り、キャプションも細かいので、翻訳は大変だっただろう。著者は一浪して延世大学に入り、在学中からコンサート演出に携わり、そのまま就職、その後独立。この過程がカジュアルに描かれる。おそらく、K-POPの産業化の波にうまく乗ったのだろう、その後は順風満帆、疾風怒濤、内外で大活躍となった---ようだ。こうした若いクリエイターのエネルギーと、上記のビューロクラシーがうまく像を結ばない。
とりあえず、現時点でのK-POP観を綴っておきたい。私にはK-POPは多分に躁病的に映る。もたらされる情報量が多く、それに翻弄されるのが、K-POPを見る・聞くことの快感なのかもしれないと思っている。この本の情報量の多さも(大分流し読みしたけど)このK-POPの性質とシンクロしている。おそらく、クリエイター達は情報処理に長けた人達なのだろう。音楽制作、ビジュアル、マネージメントの協業が重要と思われる。この躁病的な熱狂が果たしていつまで続くのか、世界に受け入れられるのかわからないが、少なくとも、クリエイターの新陳代謝だけは必須だろう。K-POPは更新されていくのだろうか?