感性は感動しない 美術の見方、批評の作法 教養みらい選書 椹木野衣著 2018/07/31 世界思想社

感性は感動しない - 世界思想社

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ブロークン・ブリテンに聞け ブレイディ みかこ 講談社 2020年10月28日 - いもづる読書日記

子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から ブレイディみかこ みすず書房 2017年4月17日 - いもづる読書日記

ぼくはこんな音楽を聴いて育った 大友良英 筑摩書房 2017/09/11 - いもづる読書日記

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『日本・現代・美術』椹木野衣 | 現代美術用語辞典ver.2.0

寡聞にして知らなかったが、著者は私と同世代。学生時代は音楽も演ったそうで、「私がウッドベースをやめて鞍替えしたニューウェーブというのは、当時イギリスから出てきたパンク・ロックのあとをうける動向で、レゲエの要素をかなり強く取り入れ、さらにフリー・ジャズの要素も入っており、それでいてやっぱりロックだったのです。(中略)ニューウェーブは、バンドの形態としては単純なものですが、そこには私がたどってきた音楽的な足跡のすべたが入っており、なおかつはるかにアナーキーでした。」(159ページ)うんうんその通りだよねとは思うが、ちょっと自家撞着的すぎない?具体的なバンド名が出てこないところも責任回避の臭いがする。「僕はこんな音楽を聴いて育ったー東京編ー」にはコントーションズから受けた衝撃が正直に語られて潔いと思うけど。
タイトルになった文章は受験問題に取り上げられたりしたそうだが、ポレミカルでありながら構成のしっかりした文章で、問題にしやすかったということじゃないかな。結局のところ、岡本太郎のイメージに依拠した芸術家至上主義であり、あまり楽しくない。肩の凝らないエッセイ集として編まれたこの本ではなく、もうちょっと歯ごたえのある本に挑戦しようと思っている。