安いニッポン 「価格」が示す停滞 | 日経の本 日本経済新聞出版
FROM
電子立国は、なぜ凋落したか 西村吉雄著 2014/7/10 日経BP社 - いもづる読書日記
バブル:日本迷走の原点 永野健二 新潮社 2016/11/18 - いもづる読書日記
2021年の衆議院選挙でも論点となった成長と分配。本書は日本人の給与がいかに低く、増えていないかを指し示す。これには様々な理由が挙げられるだろう。簡単な処方箋は存在しない。本書の著者も事実の列挙に専念し、打開策についてはインタビュイーにお任せしているようだ。タイトルを列挙すると、
許斐潤 野村證券金融経済研究所・所長「このままだと日本はこの先も変われない」
渡辺務 東京大学・教授「物価2%を上げるなら、賃金は3%上げる。そんな政策が必要だ」
田中邦彦 くら寿司・社長 「アフターコロナ時代、低価格志向はより強まるのではないか」
中村天江 リクルートワークス研究所・主任研究員「まず『賃金は上がるもの』というコンセンサスを作ること」
村上臣 米リンクトイン・日本代表「日本型雇用は、あまりにも特殊すぎる」
神津里季生 連合・会長「賃上げは、政・労・使の3者で考え方を合わせることが重要だ」
池見賢 マルハニチロ・社長「魚は日本人の口に入りづらくなるかもしれない」
永濱利廣 第一生命経済研究所・首席エコノミスト「支出を減らすのではなく、収入を増やす努力にシフトするべき」
八代尚宏 昭和女子大学・副学長「労働市場の見直しで安いニッポン脱却を」
河野龍太郎 BNPバリバ証券・チーフエコノミスト「安いニッポンから脱するためには、国は課税の方法を考えることだ」
いわゆるデフレエコノミーは嫌いではない。低価格商品でチマチマ暮らすのが、それほど苦痛だったり、惨めだったりはしない。一方で、社会全体の不自由さ、閉塞感は常に感じるところではある。問題は日本人の変えられない病だ。こうした事実から目を背けるために海外雄飛みたいなことを言いだす輩がでてくるが、現実的でないことはコロナ禍が教えてくれた。絶望せず声を上げていくことしかないだろう。給料上げろ(by 人生幸朗)。
。