筑摩書房 ふしぎな日本人 ─外国人に理解されないのはなぜか / 塚谷 泰生 著, ピーター・バラカン 著
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安いニッポン 「価格」が示す停滞 (日経プレミアシリーズ) 中藤玲 著 2021年03月10日 - いもづる読書日記
上級国民/下級国民 小学館新書 橘玲 2019/8/1 - いもづる読書日記
「朝鮮 民族・歴史・文化」金 達寿著 岩波新書 1958 - いもづる読書日記
塚谷氏は長くヨーロッパでビジネスをされ、日本を外から見る経験をされた。バラカン氏はイギリス人だが日本に住んで長い。塚谷氏は日本人の集団志向を協業で稲作を営んだ歴史によるものだとしている。「日本は戦後、民主主義の国家にはなりましたが、つい最近まで稲作がすべてだった時代から連綿と続いた、日本独自の稲作組織のあり方が、現代でも少しも変わっていません。変えられないのは、あまりにも長い間の、生死をかけた苦難の稲作の歴史があるからなんです。」(211ページ)
稲作がすべてでなかったことは網野史学で繰り返し述べられている。百姓は農民のことではなかったのだ。むしろ、稲作に結び付けて考える現代日本人の思考が、何かの束縛を受けている感じはする。米文化と小麦文化の対比は説得力があるかと思うが、同じ米文化圏の韓国の政治志向性が日本と全く異なるのは「朝鮮 民族・歴史・文化」に書かれているとおり。戦後日本の制度設計を行うにあたって、GHQ(の一部)はアメリカにも残存する階級制を払拭した究極の民主主義社会を作ろうとした。塚谷氏が述べるとおり、残念ながら日本人はそこまで自発的でなかった。「決められない病」の蔓延はむしろ年々悪化しているように感じる。やはり経済成長が伴わないと自信も回復しないのか?でも、「日本人は決まった仕組みを効率化することは得意だが、仕組みそのものを作るのは苦手」なら先行きは暗いか?