網野善彦対談集 2 多様な日本列島社会 山本幸司編 岩波書店 2015/02/20

多様な日本列島社会 - 岩波書店

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アジアの中の日本―司馬遼太郎対話選集〈9〉 (文春文庫) 司馬遼太郎 文藝春秋 2006/11/01 - いもづる読書日記

本書は網野善彦対談集全五巻の第二巻。歴史学者、考古学者、民俗学者に混じって、司馬と宮崎駿が収められている。
司馬遼太郎という人はなかなか大した人だ。司馬史観というか大河ドラマ史観は相対化されなければならないと思っているが、本書の司馬は網野を相手に博覧強記ぶりを発揮している。
「司馬;基本的には『室町に儒教なし』と考えてもいいかもしれません。むろん書物としての儒教はあった。(中略)しかし、社会習慣としての儒教はなくて、日本古来の行儀作法だけで社会の秩序を安定させていた。(中略)網野;これは別の角度から申しますと、室町以降、江戸まで含めて、結局、日本人の場合、自分たちの生活を律する一つの宗教的な枠組み、倫理を持たないでここまできた。よく言われますように、日本人には宗教なしということですね。(中略)それがいい、悪いというのではなくて、現実にそういう事態を日本人の社会が生んだということの持っている問題が、何かいまだに尾を引いているような気がして仕方がないんです。ですから、おっしゃるような意味で、室町時代が、まさに、現代の日本人の生活ーもっともそれがいまや壊れつつあるのかも知れませんがーの当面の出発点になることはいろんな面からみて明かなことだと思います。」