同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬 2021/11/17 早川書房

同志少女よ、敵を撃て | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン

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「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略 小泉悠 2019/06/25 東京堂出版 - いもづる読書日記

女たちのテロル ブレイディみかこ著 岩波書店 2019/05/30 - いもづる読書日記

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戦争は女の顔をしていない - 岩波書店

ウクライナ戦争が始まった頃、参考図書としてもてはやされた本。旧ソ連の女性狙撃兵が主人公の小説。登場するリュドミラ・パヴリチェンコは実在の人物なので、こうした部隊があったのかもしれない。
「世界広しといえどソ連が唯一前線における『女性兵士』を生んだ理由が何であったのか、未だ明快な答えは見つからないが、それがなんであれ、戦争の終結とともに無用になったことは事実だった。戦後ソ連が顕彰したのは、武器を手に戦地で戦った男たちと、その帰りを待ち、銃後を支えた貞淑な女たちだった。復活した『男女の役割』は軍隊内にも波及し、女性は戦闘職ではなく支援職という古式ゆかしい棲み分けがなされた。生きて帰った女性兵士は敬遠され、特に同じ女性から阻害された。」(468ページ)
社会主義的な言説は、今となっては書割の三文芝居のようだが、奇妙が魅力がある。しめつけられ判断力を奪われる一方、関心を日々の暮らしの矮小化して暮らす心地良さ。スローガンの指し示す空虚な理想社会、人類の進歩に対する信頼がまだ残っていた時代。