トゥアレグ 自由への帰路 デコート豊崎アリサ 2022/3/17 イースト・プレス

書籍詳細 - トゥアレグ 自由への帰路|イースト・プレス

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恋する文化人類学者 鈴木裕之著 世界思想社 2015/01/20 - いもづる読書日記

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<ヴィジュアル版> サハラ砂漠 塩の道をゆく – 集英社新書

著者の映画"Caravan to the Future"の上映会で購入。映画は本書の中盤部までで、以降の話は少しニュアンスが変わる。舞台はニジェールアルジェリア、マリ。植民地主義の都合で引かれた国境を超えて交易する少数民族トゥアレグの話。各章の扉に地図が付されているが、同じ町だが位置付けが変わっていくことが面白い。第8章「放射能の砂漠」で一気に風景が変わる。
トゥアレグといえばティナリウェンやタミクレストの”砂漠のブルーズ”だが、本書ではこのように書かれている。「その音楽はカダフィ大佐の軍事キャンプで生まれたのだ。リビアからAK47エレキギターを持って帰ったトゥアレグが、マリ、ニジェールアルジェリアの各地へ音楽を広めた。」(48ページ)
著者は本書をこのように結ぶ。「干ばつ、戦争、定住化、失業、テロ。時代が変わるにつれ、様々な混乱に翻弄されて、砂漠には人が少なくなった。しかし、この土地から離れないトゥアレグ族は、今でも大切なことを伝え続けている。サハラは昔、国家の圧力、宗教の服従を逃れた彼らを歓迎した。何もない砂漠で、彼らは名誉の掟に従う誇り高い文明を築いた。何もない砂漠で、彼らは永遠の自由を勝ち取ったのだ。」(419ページ)